
d_102552 Dear Maiden
アールグラントの姫君は今年で21歳。
王族としての結婚適齢期は、とうに過ぎていた。
見合いを勧める兄の気持ちもよく分かるけれど、縁談はことごとく断られてばかり。
理由は――わたしが、魔女と呼ばれているから。
母はもともと娼婦だった。
その腹から生まれたわたしも、同じようなに男を誘惑する放蕩娘にちがいない――周囲はそう、勝手に思い込んでいる。
けれど男を食い荒らすどころか、口づけだってまともに交わしたことがない。
わたしの心を埋めるのは、遠い昔に結婚の約束をした男の子の姿
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