
d_201379 可愛い子
「……仕方がないので、俺が教えて差し上げます」
初めての夜の街。
気が付けば、私はとある遊郭の格子の中にいた。
どうしてこんなことになってしまったのか分からない私は、籠の中でただ俯くばかり。
「買ってほしけりゃ、愛想を振りまけ」
遊び慣れた客が、そう捨て台詞を吐いて、目の前を通り過ぎていく。
――このままでは、私は死ぬまでここから出られない
そう思い、意を決して顔を上げる、と――。
目の前に驚いたような顔をした「弟」が立ちすくんで私を見下ろしていたのだった……。
ぞくりと凍る背筋。
どうしてこんな
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