d_281249 千波の吐息をきみと【1】
◆二人の想いが通じ合うまで後少し……そのはずだった――◆
受験を控えた三年の夏。
俺、海原
蒼壱(うなばら
そういち)は
東京の大学を受験しこの田舎から出て行く予定だ。
「後少しで離ればなれになっちゃうと思うと落ち着かなくて…」
そう告げたのは幼馴染の林条
碧月(りんじょう
みつき)。
まだ付き合っていない。
しかしそんな会話ができるぐらいにはお互い意識していた。
どちらかが一歩踏み出せば想いが通じ合う、そんな距離感。
彼女と過ごせる時間も残りわずかだ。
寂しがる彼女に少しでも同じ時間を共有し
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