d_693588 カラダ・スイッチ 〜ある夫婦の入れ替わり〜
セックスは義務、会話もない。
冷え切った夫婦がある日突然、カラダが入れ替わった!?
夫の身体で知る、抗いがたい衝動。
妻の身体で知る、とろけるような快感。
鏡に映るのは、愛する人の顔をした、自分自身。
未知なる身体の秘密を互いに教え合う、奇妙でエロティックな「共同研究」が始まった。
これは、ただの入れ替わり物語ではない。
セックスレスの先で、本当の愛と快感を見つけ出す、夫婦の再生の物語。
総字数
約10,000字(読了時間
約20分)
※パッケージ画像のみAIを使用しています。
〈本文より抜粋〉
「な……ななな……なんだこれぇぇぇえええええ!?」
喉からほとばしった絶叫は、しかし、いつもの野太い声ではなく、澄んだソプラノだった
。
バランスの悪い覚束ない足取りでベッドから転げ落ち、姿見の前に立つ。
そこに映っていたのは、パニックに顔を引きつらせた、紛れもない妻・美咲の姿だった
。
その絶叫で、隣で寝ていた「健太」が飛び起きた
。
「もうっ……朝からどうしたのよぉ……」
低い、聞き慣れた自分の声
。
しかし、それを発しているのは自分ではない
。
「ええっ、なにコレ!
なにこれぇぇぇぇえええ!」
今度は、健太の肉体から、美咲の魂の叫びが響き渡った
。
〇
健太(in
美咲の体)は、おそるおそる、パジャマのズボンの中に手を入れた。
初めて触れる女性器の感触に戸惑いながら、クリトリスと思われる場所をそっと撫でてみる
。
「……っ!?」
瞬間、脳天を貫くような、今まで経験したことのない種類の快感が走った。
射精の時のような、一点集中の爆発的なものではない
。
まるで、上質な絹で全身を優しく撫でられるような、甘美で、とろけるような感覚。
ある一点を超えた瞬間、体の芯からじゅわっと熱が溢れ出すような、深く、長く続くオーガズムの波に飲み込まれた
。
「は……ぁ……、なんだ、これ……」
〇
その日から、二人の夜は「共同研究」の時間へと変わった
。
「いい?
わたしの体はね、いきなり攻めちゃダメなの。
まずは、うなじから背中にかけて、ゆっくり……こんな風に指を這わせて……」
美咲(in
健太の体)は、まるで自分の体の取扱説明書を読み聞かせるように、健太(in
美咲の体)を導いた
。
美咲は、そのたくましい指で、恐る恐る、しかし真剣に自分自身の滑らかな肌をなぞっていく
。
「ああ……そう、そこ……気持ちいい……」
健太がうっとりと声を漏らす。
その反応を見て、美咲は自分のことのように嬉しくなった
。
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