
b473aeurp00077 ガンカケ(単話)
部活で帰りが遅くなり、急いで帰路につく竜一くん。
夕闇の学校はちょっと不気味と早足になるが、不気味な理由はそれだけではなかった。
竜一くんのすぐそこには禍々しい影が迫っていて、やがてその影は彼の腕をつかみ、そして……。「ぎゃっ」「きゃっ」ドサッ…???
竜一くんの目の前には、幼なじみのほの花が尻餅をついている。
ほの花は、長く伸びすぎた髪をモッサリと揺らせつつ立ち上がると、一緒に帰りたかったから今まで待っていたのだと微笑む。
そんな笑顔の彼女にカーッと顔を赤くする竜一くん、せっかく顔は可愛いのにと、今さらながら思うのには訳があった。
ほの花は、そのやぼったいほど長くした黒髪が災いし、クラスメートたちからはモップオバケだのと揶揄されていて、幼なじみの彼からすれば、彼女の魅力をジャマしてやまないその長すぎる髪と、それを良しとするほの花に対して、なんとも歯がゆい想いがあったのだ。
だから言ってしまった…お前、髪切れよ。
ほの花は、髪を伸ばしている理由について、その大きい胸に手をあてながら、「ガンカケ」しているの…とポツリ。
しかし、その願い事については内緒の2文字の一点張りで、せっかく心配してるのにと顔を真っ赤にして怒る竜一くんに、頑なな態度で秘匿を貫くほの花はしかし、その後一転して竜一くんに抱きついて懇願する。
曰く、お願い、つきあって…と。
本日一番の赤顔をさらしてドッキドキの竜一くん。
しかし、つきあっての先が「トイレ」と知りガックシの彼は、夜の学校は恐いんだもんと、男心も露知らずのていでのたまうほの花とともに、女子トイレへと向かうのだった。
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